言葉の話せない新生児期の子どもにとって、ノンバーバルコミュニケーションこそが唯一のコミュニケーション手段です。
泣き声や身振り、微笑みなどで、 空腹や不機嫌などを表現します。
親はそれらのサインを読み取り、適切に応える関わりが重要です。
それは新生児とのアタッチメント形成(愛着形成)の基盤がここで築かれているのです。
【愛着形成とは、「子どもが不安な時に親や身近にいる信頼できる人にくっつき安心しようとする行動」のことで、3才位までに完成します】
I. 視覚的コミュニケーションの始まり
新生児期は言葉を使う前から、視覚的なノンバーバルコミュニケーションが重要な役割を果たします。
赤ちゃんは視界に入る色や形、動きに注意を向け、それに対して表情や視線で反応します。
親が積極的に表情を交えることで、赤ちゃんは愛情や安心を感じ、視覚的なコミュニケーションが成り立ちます。
II. 触覚と身体的なつながり
新生児は触れられることで安心感を得ます。
親が優しく触れることで、新生児は体の安定感を覚え、安心して眠ることができます。
抱っこされることで安心感が芽生え、母親の馴染みの匂いや声に反応するようになります。
親子のスキンシップは、赤ちゃんが世界とのつながりを感じるために不可欠です。
触れ合いを通じて、愛情や信頼がノンバーバルに伝わり、こうした関わりの積み重ねが、信頼関係形成の土台となります。
新生児期に親との信頼関係が損なわれると、その後の情緒発達に影響が及びます。
子どもが安心感を得られないまま成長すると、他者との関係構築が困難になる場合があります。
愛着形成は生涯にわたる人格発達の基盤となります。
III. 音声と聴覚の関連
新生児はまだ言葉を理解できませんが、音声や音のリズムを通じてコミュニケーションが生まれます。
母親の声や心地よい音楽は、赤ちゃんに安心感を与え、睡眠やリラックスに寄与します。
親が笑顔で話しかけることで声色にも温かさが表れ、赤ちゃんは言葉の温かさにも気づき、感情の交流が生まれます。
IV. 表情と感情の理解
新生児は自らの表情で感情を表現し、親もその表情を通じて赤ちゃんの気持ちを察知します。
特に笑顔は積極的な感情表現であり、赤ちゃんが愉快な状態であることを示します。
また、笑顔の有無から社会性の芽生えを知る手掛かりが得られます。
親が赤ちゃんの表情や声のトーンに応じて、声をかけたり、抱っこしたりすることで、赤ちゃんは、自分の行動が周囲に影響を与えることを学びます。
また、親が赤ちゃんの表情や声のトーンに合わせて、表情や声のトーンを変えることで、赤ちゃんは、感情表現を学びます。
V. 期待と安全な環境
新生児期におけるノンバーバルコミュニケーションは、赤ちゃんにとっての安心と安全な環境を築くために重要です。
親が一貫したリズムや規則正しいケアを提供することで、赤ちゃんは予測可能な環境を感じ、自己安定感を醸成します。
期待通りのノンバーバルコミュニケーションが行われることで、赤ちゃんは成長に適した心理的な基盤を形成します。
VI. 親子の絆の構築
新生児は、言葉を使わずにコミュニケーションをとる能力が備わっています。
この能力を十分に発揮させるためには、親が新生児のノンバーバルコミュニケーションに敏感に反応し、適切に応えることが大切です。
新生児期のノンバーバルコミュニケーションは、親子の絆を深め、発達を促す大きな要素となります。
赤ちゃんが親との相互作用を通じて感じる安心や愛情は絆を構築し、将来の健全な人間関係の基盤となります。
親が赤ちゃんと対話するようにノンバーバルな手段で接することは、言葉以上に強力なコミュニケーション手段となります。
次回は乳児期を扱います。