クリティカル・シンキング【critical thinking】(批判的思考)とは、現状の課題・問題が何か、その事象を「批判的」「論理的」に捉えて、本質的な課題は何か、それに対する仮説・回答は何かということを網羅的に、かつ深く考え抜く思考法のことを指します。
情報を批判的・客観的に分析し、論理的に考え、独自の判断を下す能力なので、これは子育てにおいても非常に重要なスキルです。
子どもがこのスキルを身につけることで、自己の思考を深め、問題解決能力を向上させ、自己の意思決定を行うことが出来るようになります。
子どもが情報を客観的に分析する能力を育てることから始まります。
これには、情報を鵜呑みにするのではなく、多角的に分析し、組み立て直し、情報の出典や信憑性を確認し、情報が事実に基づいているか、偏見や先入観に影響されていないかを評価することが含まれます。
次に、子どもが情報を論理的に考える能力を育てることが重要です。
これには、情報を整理し、関連性や因果関係を理解し、論理的な結論を導き出すことが含まれます。
そして、これらの分析と考察に基づいて、子どもが独自の判断を下す能力を育てることが求められます。
これには、自己の価値観や目標に基づいて、情報を評価し、意思決定を行うことが含まれます。
子ども自身が主体的解決者として、計画立案や問題解決、そして意思決定の基盤・技術を築くことが出来るようになります。
また分析、推論、伝達といったクリティカルシンキング・スキルは円滑なコミュニケーションにおいても重要です。
クリティカルシンキングと類似した概念の1つに、ロジカルシンキング【logical thinking】(論理的思考)があります。
ロジカルシンキングは、推論を積み重ねて結論を得る思考プロセスのことで、クリティカルシンキングは論理的な思考をベースとして、本質的な課題を捉えるための思考法です。
ロジカルシンキングもクリティカルシンキングも「論理的に物事を考えて、分かりやすく伝える」ことにフォーカスしているのは共通です。
クリティカルシンキングは、情報の信憑性を見極め、根拠を基に論理的に推論していく力が大切です。
データだけでなく、情報源の信頼性やバイアスを考慮する必要があります。
物事の本質を見抜く眼差しが必要となります。
現代社会では、SNS上の疑わしい情報に惑わされない判断力が欠かせません。
良質な情報を得るためのリテラシーと、物事の真偽を見極める力が求められています。
多様な視点や価値観を尊重する開かれた思考も重要です。
固定観念にとらわれず、新しいアイデアを柔軟に取り入れる寛容さが必要です。
クリティカル・シンキングは、対人関係の解決にも応用できます。
相手の主張をしっかり理解し、自分の思い込みを排除して、建設的な対話を心がけるのです。
学校教育の初期段階から、論理的思考力や判断力を育む教育が欠かせません。
①思考する目的を決める
②現状を分析する
③課題を発見する
④解決に向けたアクションを検討する
などの、フォーマットのある議論やディベートなどを通じて、多角的な視点を養うような学びが重要です。
以上のように、クリティカル・シンキングは、個人の可能性を最大限に引き出す思考技法と言えます。
主体的な学びを通じて、判断力を高める教育が求められています。
しかし、これらの能力を育てるためには、まず親自身がクリティカル・シンキングを理解し、実践することが重要です。
親がクリティカル・シンキングを実践することで、子どもはそのモデルを見て学び、自己のクリティカル・シンキングの能力を育てることができます。
したがって、クリティカル・シンキングを子育てに応用することは、子ども自身が情報を客観的に分析し、論理的に考え、独自の判断を下す能力を育てるための重要な手段です。
これは、子どもの自己の思考を深め、問題解決能力を向上させ、自己の意思決定を行うための方法であり、そのためには親自身のクリティカル・シンキングの理解と実践が求められます。