私たちは、頭や心の中にあることを誰かに届ける際に「言う」「伝える」という言葉を使います。
しかしこれらは似て非なる言葉です。
皆さんはどのように使い分けていますか?
『伝える』という漢字には「云」という部分があります。
「云」という字の元は「専・專」という文字です。
この「専・專」という文字の古い字体を見ると、
【袋の中に入れたものを手で打って、まるく整えた様子】を描いています。
にんべんを添えて、人がこの袋を背負う形を示し、
「背負って運ぶ」「他に運んで伝える」「おくる」「ひろめる」という意味になったようです。
記録する術を持たなかった古代の人たちは、
五感を使えば誰もが分かるような『しるし』を見つけ、それを後世へ『伝えた』はずです。
こんな風が吹けば、明日は嵐だ
雷が鳴れば、虫たちが動き出す
あの星が真上に来れば、種蒔きだ
耳をそばだて、目をひらき、匂いをかぎわける、
そんな風に自然に寄り添い生きていた時代では、様々な現象に気付き重要な情報に変換されたのかもしれません。
後世はそれを「季語」だったり「二十四節気」「七十二候」に残しました。
伝えようとすることの重みはそのままに、相手に分かるように形を整え、大切に運ぶ。
自然から人へ、人から人へ、人の思いから人の心へと魂を込めて伝えられてきたものには、
未来への希望が詰まっています。
このように『伝える』には、
【相手が受け取れる分量に整え、相手が受け取りやすい所まで運んで渡す】
という考えが含まれています。
言葉だけでなく、非言語的な手段やコンテキストも含め、情報や感情を相手に理解させる努力を含みます。
『伝える』ことは、単なる言葉だけでなく、コミュニケーション全体を通して意味を共有することを指します。
それに対し『言う』とは、相手に対して単に言葉を発する行為です。
子育てにおいては『伝える』を駆使したいですね。